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| 「ア・スケアシティ・オブ・ミラクルズ」 *A Scarecity Of Miracles 夜の帳が降り 闇が立ち込め 闇の背後には狂気と恐怖とが忍び寄る 信頼がお前は誰かと問いかけて来る 闇のそばには虚像も実像も居ない 今のお前じゃない かつてお前は誰だったのかと 僕の魂にはいまだ残る昼光 夜の帳が降り じっと神秘は立ち止まるが 恐怖と苦痛は なおも神秘を裏切りに来る ピサロと征服者達 廃墟と隠喩 奇跡なんてまずない 彼が気づいたもの ヴァルヴァードと戦線と 浸食されつつあるあらゆるもの 奇跡なんてまずない 僕らの気づいたもの 「ザ・プライス・ウイ・ペイ」 *The Price We Pay 今なお残っている言葉がある いつも同じ意味をもって 哀しみとは払うべき代償なのか 払うべき代償なのか 僕はこのページを歴史から切り取った だから今君に見せられる ささやかな譲歩を積み重ねた 今君に見せるため どういう事なのか それがどういう事か やみつつある雨に濡れた国境の ぬかるみの底での事 あまたの四葉のクローバーの下敷きになって 無駄に流されたほんのささやかな涙 それが僕らの払うべき代償 「シークレッツ」 *Secrets 時が過ぎゆくのが感じられない 落ち葉の舞い落ちるのもわからない 気づかぬうちに季節は変わるが 僕は顔色ひとつ変えはしない 嵐がはげしかろうが 雨が降り出そうが 僕は風を感じない 風を感じない 僕の口から語られるすべての言葉は 床の上にばらまかれ 塵や芥のなかに散らばる すべて秘匿 いわずもがな いまさら僕は風を感じはしない もう感じたくはないのだ だから説明などするまい 心の内外にいまだ残る あらゆる疑問 わだかまり 僕は風を感じない 逃げようとし続けて10年が費やされた 何からでも誰からでもなく ましてや小汚い己のなれの果て いじけた残骸からでもないのだ このたとえ話を拡げていっても 君からの信用をぶち壊すだけだろう 出だしで躓き 取り繕おうとしては 水面下で溺れっぱなし そうやって話のタネは尽きる この瞬間にも時は過ぎ去るのだ 僕らの生活も 永久に変わってしまう 永久にだ 「ディス・ハウス」 *This House この家 この家は今や空き家 この部屋 今や言葉の幽霊の響きだけ この壁 誰も倒す事のなかった壁が 粉々に砕け散る 雪に縁取られた窓 終わる事なき夏 庭に聞こえた声 日暮れの頃の 何もかもが甦って来る 僕は君からの手紙を読んだ 日は落ちる 一体何が起こったんだ 絶え間のない会話 沈黙 どうしても僕には解からない 雨の意味する所 日は落ちる この家は今や空き家 部屋に今も残る響き この家 この家 「ジ・アザー・マン」 *The Other Man 彼は永遠に逃げおおせると思っていた （あなたにはわかるまい、わかるまい） 違った場所に迷い出て 雪の中途方に暮れた 何かしらはまた後に残る 全てが損なわれる時でも そんな状況が想像つくだろうか 想像しようとも思うまい また別の建築物が崩れ落ち 雨のなか粉々になった また別の革命が潰えた 煙と炎の中で 我々の記憶も消せるのか 疑問を抱く事だろう 海に漂う流木のように 歴史の乱流の海 反体制と頑迷固陋と ありえた筈の別のヴィジョンが 夢の海に沈んでいく 私の本名は盗まれた 真実などないのだ それはまた違う別の男 私はそいつじゃない あなたに必要なのは違う男 それはずっと別の男だった 避け続けて 逃げ隠れして 虚構を重ね壁を作り それが潰え去るまでただ眺めている 「ザ・ライト・オブ・デイ」 *The Light Of Day ここが遠いどこかならよかったのにと思いながら 目覚めた時には陽が高くなっていた 僕が居なくなったと気づく者すらいないどこかならいいのに しかし僕は遠くの物音で現実に戻される この瞬間は世界が震えだす時 全てが変わりだす変換点 −ここからもう戻れない 運命はその路上に刻印を残した だから僕はこの場所を永久に離れるのだ −ここにはもう戻らない それは僕でもありえたし それは君でもありえた あてどなく 全てが動き出す 全てが風を受けて 全てが出帆する 僕はあの取り替え子になるのだ 人生を取り替えてそれが流れ出すのを眺める この身は今も変わらず落石に動けぬまま 水に漬かっている 横になって雨が降るのを眺めているまま 陽の失せるまで 僕らを形作る血と肉へ 僕らの属するべき世界へ戻ろうとしている 陽の光 陽の光 きっと僕らは死んでいく 陽の光 光 |
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| Last Update 12.1.1 by K.T. | ||
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ア・スケアシティ・オブ・ミラクルズ
