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 ローン・ライノ |
Last Update 2010.1.01 by K.T. |
| 「ビッグ・エレクトリック・キャット」 *Big Electric Cat まるでリムジンのようにやってくる しなやかに挑発的に うろつく 人ごみから街の雑踏へ 眩く光るその訪れるところ いかなる闇であろうと コンクリートは瓦解し今宵は喧騒 ビッグ・エレクトリック・キャット ビッグ・エレクトリック・キャット･･･ 街路を踊るようにすり抜ける 燃えさかる炎のように 誰もが 催眠術に陥り汗を吹き出す いたいけな子供も泣きだし いっぱしのオトナさえ叫ぶ 犬は吠える灯りは消える ビッグ・エレクトリック・キャット ビッグ・エレクトリック・キャット･･･ 「ザ・モウムー」 *The Momur 昨夜遅く僕が妻と話してたら 妻が噛みつき魔になった 僕に食ってかかってきたので そんなに脅さないでくれと言い返した そしたら妻は吠えだしたので 僕の心臓は壊れたテレビみたいに爆発しそうだった 女は噛みつき魔 それはまさに言葉通り 彼女は言った 気をつけろ ボケ 噛みついてドテッパラに風穴あけてやろうか 翌朝僕がマンガを読んでいたら 噛みつき魔が見えた気がした それが誰だかもうご承知でしょ そう 妻は僕を部屋の隅に追いつめ 僕をほうきで殺そうとした そしてリビングから勝手な決めつけを言いつのった 女は噛みつき魔 それはまさに言葉通り 彼女は言った 気をつけろ ボケ 噛みついてドテッパラに風穴あけてやろうか 昨夜遅く僕はまた妻と話してたら 妻がまたも噛みつき魔になった 僕に食ってかかってきて 僕のお気に入りのギターを取りあげ叩きつけ 踏みつけながら踊りまわっている時 僕もさすがに怒るべきじゃないかと思った 女は噛みつき魔 それはまさに言葉通り 「ストップ・イト」 *Stop It そうさ毎日正午に僕は歯ブラシと取っ組み合う バスルームに転がり込んでシャンプーする 僕は浮き草稼業 電話を待って 受話器をにらみ 壁に向かって独り笑うのさ さて 僕には恋しい人がいて 僕を狂おしくさせる 雨が降った朝なんかは 僕の胸の内を占領する 僕は浮き草稼業 電話を待って 受話器をにらみ 壁に向かって独り笑うのさ ウエイトレスはウエイターのウインクを待つうちに 勘定を勘定しながら飲み物を飲む 僕は浮き草稼業 電話を待って 受話器をにらみ 壁に向かって独り笑うのさ さて 世間が眠りに付くと夜は早く過ぎる でも僕は食い物にありつける場所をうろつく エッグハウスの朝食の 焼き型の上のワッフルのように 外見は堅焼きだけど 中身は軟弱さ 「ザ・マン・イン・ザ・ムーン（月の住人）」 *The Man In The Moon その夜壊れた桟橋に僕は立っていた 海に足をつけながら あなたは雲の間に顔を見せる 月の住人 そして僕はあなたの声を聞いた あなたの笑い声を感じた 海水は壊れた桟橋に満ちて 僕はすぐその場で死んでしまいたい気持ちになった あなたは波の彼方から微笑んで 僕に語りかけるかのようだった 「万事うまくいくから お前は強く真っ直ぐ生きるんだ」 あなたの視線はまるで引き潮のようで 空に僕を引き込むかのようだった 間一髪あなたは僕を抱き止めてくれて 父と息子は 再び我が家に戻る 「ローン・ライノサラス（ひとりぼっちのサイ）」 *The Lone Rhinoceros 僕はひとりぼっちのサイ 僕らはもうこの世に一切 取り残されて僅かも居やしない このコンクリートの檻で僕はひとりたたずむ 人々がジロジロ見ながらコーク缶を投げつける 密猟でやられるよりはまだマシなのだろうが 僕は故郷を目にするためならツノを差し出したって構わない みんなは僕を醜いと言い獣扱いする ウトウトしていると嘲り笑う声が聞こえる 美しいってそんなにいいことかい 僕もそれって何か意味深いらしいとは聞いていたけどな 動物園が僕らの種を保護しているのは知っているさ 彼らは餌をくれるし糞も始末してくれる でもどうにも昔が懐かしくてたまらない 僕は二度と懐かしき良き泥風呂には浸かれないのだろう 僕はひとりぼっちのサイ 僕らはもうこの世に一切 取り残されて僅かも居やしない 「スウィングライン」 *Swingline スウィングライン ミッドウエストの裏庭の至る所 振り返ってごらん 列車の君の座席から 窓越しに見てごらん まっ裸の子供とまぬけの犬コロがいる 彼の母親は物干しロープに手を伸ばし 隣の人も標識にもたれかかってカッコつけてる とまらないん ミッドウエストの裏庭を貫いて うかがってごらん 列車の君の座席から 窓越しに見てごらん 小川にうっちゃってあるビュイックのなんとかいう車 あれでも昔は誰かの夢そのもの 街は夏の熱波を見つめ続けて 穏やかな午後を終え一日を閉じようとしてる 「アディダス・イン・ヒート」 *Adidas In Heat ジェット機族の雲上ショップ 銀まがいのポルシェジャケット 脱色ものの金髪 ４０ドルのフォスターグラント かぶせものの歯 ２インチのつけまつげ パチもんのＢ級Ｃ級人形 アディダス熱で浮かれてる しょんべんビール 土曜のヤク中達は別のトップを祭り上げ クソ野郎を殺せ テレビの中で吠える 勝利の震え 俺の足のもだえ アディダス熱で浮かれてる スポーツを意識したＴシャツ スポーツを意識するＴシャツ サポーター用に合成された栄冠 このＴシャツを着ることを強いられた スポーツを意識したＴシャツ サポーター用に合成された栄冠 「アニマル・グレース」 *Animal Grace ヘイ！ 大騒ぎを巻き起こす ヤツは都市の大気を切り裂く 素早くかつ大胆に そう ヤツは音響の波に乗って モダンなポーズを決め 時代の寵児に駆け上がる その色鮮やかな目の中に動く優美な獣が見える そしてヤツの顔にいきなり漲る生命 イェス！ 静かな舞台でのドラマ ヤツの姿には脱帽だ スタイルと趣味の体現 そう ヤツはテレビの魔術で リビングの壁を照らし 周波数で支配する 俺は見た 去り行く群集とともに舞台は撤収される 素朴なギターを手にとりのこされて 俺は何か違和感を感じている ほの暗い駐車場でヤツの車が行き去るのを見た 立ち尽くし 静かに手を振りながら 俺は優美な獣にサヨナラを告げる  Belew Solo Album作品索引へ |
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