ディク・フレーザー＆
リチャード・ヴィッカーズ

ＥＬＰの”ナイフ・エッジ”の歌詞をグレグ・レイクと共作で書いたのは、リチャード・フレーザー（通称ディク）。ＥＬＰの初期ツアーローディー兼作詞家で、ひょっとしていたらＥＬＰにおけるシンフィールドのような存在になっていたかも知れない人物。”展覧会の絵”でも作詞に協力している。
そもそもは、通称のディク・フレーザーの名で、Ｐ．シンフィールド、Ｉ．マクドナルドと以前一緒に”インフィニティ”というバンドを組んで活動していたミュージシャン。その後シンフィールドとともに初期クリムゾンのローディーとなり、シンフィールドはメンバーに加わり、フレーザーはローディーのまま継続。

もう一人、アーカイブシリーズの”エピタフ-1996年の追憶-”にディック・フレーザーとともにローディーとしてしっかりクレジットされているのがリチャード・ヴィッカーズ。彼は付属のブックレットに「ロード・クルーからの眺望」という文章を寄せている。そのなかで、69年のクリムゾンとの仕事が最初のフルタイム・ジョブだったと述べている。そして、キング・クリムゾンとはふたつのライヴ・ユニットと仕事をしたとも述べている（後述）。で、文末にはこう記している。「数年後、僕はＥＬＰのクルーに加わって、チーフとして働く事となる」　つまり、フレーザーとまた一緒にELPで働いているわけだ。

”続エピタフ”にも同様に、ローディーとして二人の名前のクレジットがあるし、”宮殿”には”Equipment by Vic and Dic”とインナー・ジャケットにクレジットがある。

アーカイブシリーズ、69年の”ライヴ・イン・ハイドパーク”に収録のボーナストラック、”バンド・リユニオン・ミーティング”は、クリムゾンのメンバーと、フレーザー、ヴィッカーズが、あれやこれや語らっている様子を録音しているもの。15分に渡って何を語りあってるか、誰が何と言っているかとても聴き取ってまとめる根性は私には無いが、ここでばっちり彼らの肉声が聞ける。

フレーザーとヴィッカーズはＥＬＰでの仕事の後に、クリムゾンのスタッフにまた加わった。”グレート・デシーヴァー・ライブ”に付いているブックレットにＲ．フリップの日記が掲載されていて、日記に関するメモとしてこう書いてある。「ディク・フレーザー、1969年からのキング・クリムゾンの二人のオリジナル・ローディーのうちの一人（もう一人はヴィック・ヴィッカーズ）で、現在のツアー・マネージャー。」
つまり、この時期ディクとヴィックはまたクリムゾンと一緒に働いていたという事。当時のフリップの日記を見て行くと、名前が随所に散見される。
74年の”USA”のジャケット裏面には”Our special thanks to Dic Fraser"とある。

この後フレーザーは様々なバンドと仕事をし、ジェネシスのライブ・アルバム、”セカンド・ユニット”（Ｂ．ブラフォードも参加）にはツアー・マネージャーとして彼の名前が記されている。フレーザーについて詳しくは”ぷろぐれ者が行く”のここで紹介されている。必見！

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